社会環境が激変しているこの時代、社会人には今何が求められているのか?どういった能力が必要なのか?
を考えてみたいと思います。
国としての指針も変わりつつある
「社会人になる際に求められ、身につけるべき能力」
を考える際の枠組みの一つに社会人基礎力があります。
社会人基礎力とは、経済産業省を主体として職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力を「社会人基礎力(=3つの能力・12の能力要素)」として定義したものです。
ここでは一部割愛しますが、大きくは3つの能力として
(1)前に踏み出す力(アクション)
(2)考え抜く力(シンキング)
(3)チームで働く力(チームワーク)
が挙げられていて、さらに必要な12の能力要素、例えば主体性、課題発見力、発信力、傾聴力といった能力要素がそれぞれ3つの能力に分類されています。
この社会人基礎力が、今の時代に合わせてバージョンアップされているのをご存知でしょうか。
その名も「人生100年時代の社会人基礎力」です。
今や日本では、諸事情から政府主導で「人生100年時代」が喧伝されているという面も若干否めませんが、社会環境が大きく変化している今、社会人にとっても欠かせない視点であることは間違いありません。
人生100年時代に求められているもの
では、「人生100年時代の社会人基礎力」は、以前の社会人基礎力と比べて何が違うのでしょうか。
ポイントは、必要な能力が変更されているわけではなく、新たに3つの視点が提示されていることです。
その3つとは、
【1】目的:どう活躍するか
【2】学び:どう学ぶか
【3】統合:どのように学ぶか
です。
「人生100年時代の社会人基礎力」は、自己内省(リフレクション)をしながら、常にこの3つの視点を持って考えることが自身の人生のキャリアにつながる、ということを謳っているのです。
すなわち今の時代、まさに自分自身に「問う力」がこれまで以上に求められていると言っても良いのではないでしょうか。
「問う」力の必要性
新たに加えられた3つの視点とは、社会人となって必要な能力を発揮する、そして能力を磨くといった「社会人基礎力」を高めることの前段階として以下の視点が求められるというものです。
それは、
1)目的:どう活躍するか
2)学び:何を学ぶか
3)統合:どのように学ぶか
という視点です。
言うまでもなく現代は、唯一の正解などない混迷の時代です。
「VUCAの時代」とも言われるように、簡単には答えが出ない複雑な時代と言えます。だからこそ3つの視点で常に「問う」力が求められていると言ってよいでしょう。
まず、「問う」とは定義によれば、「分からないこと、はっきりしないことを知らせて(教えて)くれるように求める」とあります。
誰かに聞き、教えてくれればそれに越したことはないのですが、ビジネスの観点でも正直に言って「誰もはっきりとした答えなど分からない時代」です。
自ら探し出すしかないわけです。
そのために、上記3つの視点が重要になります。
3つの視点の考え方とは
◇目的:どう活躍するか
説明として「自己実現や社会貢献に向けて行動する」とあります。
これは「何のためにやるか」
What forでありまたwhyの観点と言えるでしょう。
日本においては成熟した時代を迎え、単にお金を稼ぐだけではない視点、 自分は何を成し遂げていきたいのかという観点で仕事に向き合うことが 求められます。
◇ 学び:何を学ぶか
whatの観点です。
同時にここでは「学び続けることを学ぶ」と説明されています。
自分が何を目的として仕事に取り組み、何を学ぶかをはっきりとさせること、そしてそれを続けることが重要であるという観点です。
近年「リカレント教育」として大人の学びなおしに国も取り組み始めていますね。社会人になっても、知識も知恵もアップデートをしていく必要があるのは言うまでもありません。
◇ 統合:どのように学ぶか
ここでは「多様な体験・経験、能力、キャリアを組み合わせ、統合する」とされています。
howの観点と言えますが、体験や学びを組み合わせて統合することも強調されています。
一社、一職種で勤め上げるといった単線的なキャリアで終わることはもはや珍しい時代となってきているのは周知の事実です。
重要なのは、常に前向きに状況や環境を捉え、「自らの意志・意思においてどう行動すべきか」
をこれまでの体験・経験や学びを組み合わせて考え続けるということですね。
ただし当然のことながら、「問う」ことを自分に行なったからといっていきなり答えは出ないでしょう。ゆえに「問う」力とともに「自分と向き合う」こと自分の気持ちや感情にも素直になりながら、自分のやりたいこと、自分が伸ばしていきたいことを言語化することが重要です。
また、言葉にするだけではなく、行動につなげてこそ意味を持ちます。
なかなかにしんどい時代と言えますが、より自分に正直に生きやすい時代とも言えます。
自分の気持ちと向き合いながら、「自分がやってきたこと」「自分の現在地」そして「自分がやっていきたいこと」を常に「問う」こと、そして思考を行き来しながら自分にとってベストと信じられることを行動していくこと、が重要ではないかと私は考えます。