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プロセスマネジメントによる業績の向上

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今回は営業部門におけるセールスチーム・ビルディングに必要となる、「プロセス管理」についてお伝えします。

結果管理からプロセス管理へ

皆様ご存知のとおり、営業部門は全社の数値目標(売上・利益・受注等)を達成することが最大の使命です。その達成に向けてチーム、さらには個人に目標が設定されます。
そして、方針、戦略を定め、販売計画、活動計画へ落とし込み、日々の活動結果が、業績に反映されます。
そうして得た結果を評価し、次の対策を打つことはとても大切なことであり、多くの組織、チームが実施していることです。結果の分析もままならず、次の計画に進むと、いつまで経っても同じような結果に終わってしまったり、あるいはさらに業績が後退してしまうことも考えられます。
PDCAマネジメントサイクルでは、ここの評価・検討の「C」が重要だといわれています。 ただし、『出た結果だけ』を見るのは結果管理です。

『結果を出す』ためには、そこに至る活動(プロセス)が必ずあり、コントロールするべきポイントは、そこにあります。出た結果はコントロールが出来ません。
どんなに戦略、計画がすぐれていても活動ができていなければ、当然期待通りの結果を出すことはできません。結果によって、その活動の良し悪し(量と質)が問われるのです。
もし活動なく狙った結果が出ているとすれば、それは偶然か他の作用が働いていると考えた方が良いでしょう。
偶然や他の力も時には大切ですが、継続的、安定的に業績を上げていくためには、自分たちの意図した活動を遂行していくことが必要です。それがチームやメンバーの力をつけていくことになります。

目標⇔結果だけでみていると、そこをつなぐ活動がブラックボックスとなりコントロールポイントが不明確であるため、マネジャーは、叱咤激励が中心のマネジメントスタイルになってしまいます。
メンバーもまた、やるべき事が不明確で行動にバラツキがでてしまい、なかなか結果が伴わないことから、モチベーションも上がりません。
そのような行き詰まった状態を改善するためには、プロセス管理に視点を移すべきです。 では、「プロセス管理」の設定はどのように行えばいいのでしょうか。

プロセス管理の設定方法

営業活動は、いくつかのプロセスに分解できます。営業活動においてはいきなりクロージングになるのではなく、そこにたどり着くためには、いくつかの道筋が必要です。

業種によっても若干違いはありますが、一般的には次のようなプロセスを踏んでいきます。

  1. ターゲット設定
  2. アプローチ
  3. リレーション
  4. 情報収集・提供
  5. プレゼンテーション
  6. クロージング
  7. アフターフォロー

まず、上記のプロセスの内容を組織・チームの中で、何を、いつ、どのようにするかを話し合います。そして、目標を達成するために要素を分解していきます。

例えば、売上の要素は、単純に言えば顧客数(案件数)×単価に分解でき、顧客をさらに新規と既存に分解できます。単価も既存商品の単価アップや追加オーダーによる単価アップなども考えられます。 その分解した要素で、一番目標を達成していくために必要な要素を決めます。それを一般的には重要目標達成指標 KGI(Key Goal Indicator)と表現しています。

次に、KGIが明確になったならば、そのKGIを達成するために重要な成功要因が何かを明らかにします。この重要成功要因をCSF(Critical Success Factor)と呼びます。
このCSFを考えながら、先ほどの営業プロセスの中で重点に管理すべき行動を決め、指標化(数値)して実践に繋げていきます。それがKPI(Key Performance Indicator)です。

目標

KGI(Key Goal Indicator))

CSF(Critical Success Factor)

KPI(Key Performanc Indicator)

この3つの視点を意識して管理をしていくことがプロセス管理であり、それが組織目標の達成と人材育成に繋がっていくのです。
では続いてプロセス指標の設定について例を用いて説明しましょう。

プロセス指標の設定例

【今期売上目標●●百万円】
この売上目標を達成するために、まずは昨年度実績を顧客別、エリア別、商品別に分析をします。その結果から目標を達成するために重要な要素を洗いだします。

例えば、既存客については、
・購買単価のアップが必要

・既存客では売上目標の達成は難しい

・新規客の開拓も力を入れてやっていかなければならない

などが出てきます。
そこで、それらをどれくらいまでやっていけば目標に到達するかを考え、ゴール指標(KGI)とします。

例:
(1)既存顧客の単価アップ昨年対比120%UP
(2)新規顧客開拓 ●●社 ●●百万円
この2つのKGIを達成していくための重要成功要因(CSF)が何かを考えます。そうすると
(1)既存顧客への提案を強化する
(2)新規顧客開拓のためにお客様を訪問アプローチする
以上2点がCSFとなります。

このCSFをさらに行動指標(KPI)に落とし込みます。この時に、もう一度営業プロセスの内容を吟味し、「提案とは何をすることなのか、それを強化するとはどういうことなのか」を考えていくことが、教育、指導に繋がっていきます。「強化する」といえば、量と質が問われます。

量では、これまで以上の件数を実施することや、質では提案能力も向上させなければなりません。また、そのためのツールの整備も必要となります。
では、まずは量から決めていきましょう。その時には、必ず活動の【確率】を検討することが重要です。

確率とは、
▽アプローチに対してどのくらいの商談が可能か(商談率)  
▽商談ができたらどのくらいの提案ができるか(提案率)  
▽提案したものがどのくらい見込みになるか(見込み率)  
▽見込みから決定するのはどのくらいか(決定率)
などを確認することです。

これまでの経験値から割り出し、その上で必要件数を設定していくことが重要です。
同じように新規開拓についても、アプローチから継続していく継続率などをベースに「アプローチ件数」を決めていきます。

ここでのKPIの設定としては
(1)既存顧客への提案件数  ●件/月
(2)新規顧客アプローチ件数 ●件/月
となります。

この件数を【チーム一律】とする場合と、【メンバーの経験、目標値によって変える】場合がありますが、納得感と言う点では、メンバーの状況に応じて設定したほうが良いでしょう。
次に、質については、マネジメントの中で【チーム内での勉強会の開催】や【情報共有の場の設定】などがあげられます。

例えば、
(1)チーム勉強会開催 1回/月 
(2)情報共有の場づくり、毎週月曜日ミーティングで実施 4回/月
など

この決定のプロセスをしっかりと踏んでいくことが、プロセス管理を軌道に乗せられるかどうかの分かれ道となります。
一度決めたKPIも状況に応じて再度見直しをする柔軟性も必要です。
KPIを設定するのはあくまでも手段であり、目的は目標達成であることを忘れないようにしましょう。

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