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プレイングマネジャーの活性化策 ~「背負う」のではなく、「任せる」リーダーへ~

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バブル経済崩壊後、多くの企業は生き残りを掛けて、リストラ、採用の抑制、組織の再編を行って、組織のスリム化に着手しました。
その結果、組織のフラット化が進み、専任管理職は減り、現場で部下を束ねて自らもプレイヤーとして活動するプレイングマネジャーが大きなウエイトを占めるようになりました。
今回はそのプレイングマネジャーについて、ご紹介します。

プレイングマネジャーの陥る落とし穴

プレイングマネジャーは組織(グループ、チームのような単位)の目標を達成するために、現場でマネジメントを行いながら、メンバーの目標達成と、ベテランプレイヤーとして自ら実績を上げて数値責任を果たす役割を担う存在です。

プレイングマネジャーは、現場に精通していることが強みであり、組織もその経験を期待して、プレイングマネジャーとして任命しています。
しかし、プレイヤーとして実績があるからといってマネジメントまで出来るかというと別問題です。
「名プレイヤー必ずしも名監督にあらず」
と言われるように、別な能力が要求されるのです。

  • プレイングマネジャーが陥る落とし穴として、次のような点が挙げられます。
  • 自分の経験ややり方を部下に押し付けてしまう。
  • 自分のほうができると思い込み、部下に仕事を任せられない。
  • 自分がやってしまったほうが早くできると思い込んでしまう。
  • プレイヤーの仕事にやりがいを感じて、なかなかマネジメントに目が向きにくい。
  • 人が不足しているために、自分もプレイヤーとなっている。
  • 目の前の仕事が忙しく部下の育成まで手が回らない(頭が回らない)

など

そうしたことの積み重ねの結果、部下とのコミュニケーションも悪くなり、信頼関係を築くことも難しくなります。
そして、思ったような成果を出せないことから、プレイヤーとして輝いていたにもかかわらず、プレイングマネジャーとして力を発揮できないことによって自信を失ってしまうのです。
そのような事態に陥らないためにも、

  1. プレイングマネジャーとしての役割を理解する
  2. プレイヤーとして、マネジャーとしてのやるべきことを整理する
  3. それぞれに掛ける時間を見直していきながら、部下の育成にも力を入れる

ことが、優秀なプレイングマネジャーになるための第一歩です。

プレイングマネジャーの本来業務

プレイングマネジャーの仕事は【マネジャーの仕事】と【プレイヤーの仕事】の2つに分けて考えることができます。

マネジャーの仕事とは、「管理的な仕事で部下に任せられないマネジャー固有の仕事」を指し、プレイヤーの仕事とは「実務的な仕事で一担当者でも遂行できる仕事」を指します。

プレイングマネジャーは、マネジャーとプレイヤー、ぞれぞれの活動割合を意識しながら、「マネジャーとしての役割を果たしているか」を常にチェックする必要があります。

全ての仕事を明確に分けることはできませんが、一般的なマネジャーとしての仕事は以下のとおりです。

定型の仕事

期首:担当組織の方針・目標設定、計画立案、職務割当 など
期中:仕事の進捗管理、部下育成、職場内の問題解決 など
期末:仕事の評価、人事考課 など

非定型の仕事

通年:突発的な問題解決、クレーム対応 など

また各業務において、良質な意思決定が求められています。
マネジャーとしての仕事は、企業経営にとってとても重要です。 決して片手間でできる仕事ではないということを、理解する必要があります。
遂行するために自身の仕事を見直し、プレイヤーとしての仕事を部下に委任することで、マネジャーとしての活動割合を高めていくことが求められています。

プレイングマネジャーの業務の見直し

プレイングマネジャーの悩みの一番として「時間がない」ことが良くあげられます。
しかし、「時間が無い」という理由でマネジメントが疎かになってしまっては、本来の任務を遂行していることにはなりません。
成果を上げているプレイングマネジャーは、時間の使い方が上手くできており、プレイヤーとしての時間、マネジャーとしての時間の配分をコントロールして時間を作っています。

プレイングマネジャーの時間配分

次のステップで、まずは時間の見直しを図ってください。

1.時間を記録する:どの業務に、どれだけの時間をかけているかを記録する。
2.集計・分析する:記録した時間を業務ごとに集計し、分類する。 (プレイヤーの業務、マネジャーとしての業務)
3.評価する(問題点を見つける)
・計画通り業務ができているか確認をする。
・マネジャー業務とプレイヤー業務のバランスは適当か確認する。
・アイドルタイム(遊休時間)がないか確認する。
・自分でコントロールできない時間がどれくらいあるか確認する。
4.改善を図る
・計画に組み入れる行動は、全体時間の60%くらいに設定し、20%は予定  外の行動に備える。そして、残り20%は自発的な行動(創造性を働かせる時間)に当てる。
・仕事の優先順位(重要度、緊急度)を決め、優先度の高いものに集中する。
・時間を集中させる(電話、メールチェック、商談等)。
・時間を30分単位でコントロールする。・マネジャー業務とプレイヤー業務を区分して、時間をつくる。
・マネジメントにかける時間を増やすために、部下に任せる業務を洗い出す。
5.計画=実行を徹底する
・月間、週間、日々の計画を作成する。
・計画に基づいて行動する。
6.検証する:改善どおり上手くいったか、さらに改善する余地はないか定期的に見直しを図る。

次に、上記1~6のステップを確認したうえで、部下に委任できるもの(顧客の管理、資料の収集、若手メンバーの指導等)は、部下を選定し実行していきます。

仕事を委任するときのポイント

部下に仕事を委任するときのプロセスとポイントは、以下のとおりです。

  1. 委任する仕事の選定

部下の成長のために、新しい仕事を任せる、自律を促す、という視点が重要です。
決して「仕事が面倒」「仕事が大変だから」といった理由で選定してはいけません。

  1. 対象部下の選定

委任する際には、現状の部下の保有能力や意欲・欲求と委任する仕事との関連 性を考えることが重要です。また、自分の後継者育成という視点も考慮する必要があります。

  1. 想定される問題の抽出

仕事を委任するにあたり、予め想定される問題を抽出し、対応策を考えておくことが重要です。
事前策を考えたうえで、面談などにより合意形成し、実践支援していく必要があります。


プレイングマネジャーが、活き活きと活躍している組織は、業績も向上するしメンバーも育ってきます。

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